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電力小売り自由化(3)需給調整、取引所を活用(よくわかる)

2016.02.22

 電力小売りの全面自由化では、自前の発電設備を持たず小売りに参入する事業者が多い。小売りだけの事業者は設備を持つ事業者や「市場」から電気を買い、一般世帯などに売る。設備を持っていても、顧客の需要と自社の発電量が一致するとは限らない。需給のミスマッチを調整する役割を担うのが取引所だ。
 日本卸電力取引所(東京・港、JEPX)の電力市場は電力自由化を受け、2005年4月に開設された。「1日前市場」「当日市場」などを運営しており、現在の会員は132社を数える。
 電気を小売りする事業者や発電事業者などは、送配電網を運用する電力会社に、前日の正午までに翌日の計画を提出しなければならない。一般には天気予報や曜日、前年同日の実績などに基づいて予測を策定する。
 1日前市場では、予測の時点で各事業者が不足、または余剰になる時間帯の電力を前日の段階で調達・販売する。前日の午前9時30分までに翌日に買いたい、または売りたい電気の量について、1日を30分単位で48区分して入札する。
 JEPXは締め切り後に全ての入札から需給カーブを割り出し、約定価格を決める。この価格に基づき各事業者は電気を売り買いして自社の計画を補完する仕組みだ。
 天気予報が外れたり発電所でトラブルがあったりして計画量が調達できない場合は当日市場を使う。現在は取引したい時間帯の4時間前に入札を締め切っているが、4月以降は1時間前まで取引できるようになる。
 電力の市場取引には、価格決定の透明性を高める機能があり、参入事業者が増えるほど重要になる。ただ、現在スポット市場で取引されている電力量は1日平均で4千万~5千万キロワット時。国内の電力需要の約2%にすぎない。電力自由化で先行する欧州大陸では30%台が取引されている。
 活性化のカギを握るのが、国内発電能力の大半を占めている東京電力や関西電力などの一般電気事業者だ。東電や関電は発送電と販売が一体のため、市場で電気を取引する必要がない。足りなければ火力発電所を稼働させればすむからだ。
 4月以降は取引活発化も期待される。要因の一つは小売事業者の増加。もう一つは、自由化と同時に実施される制度変更だ。発電、送電、小売りの機能別に事業者の届け出や登録が必要になる。大手電力も発電と小売りの部門間で電気を売買する。取引価格が極端に安いなど不公正ではないことを示すため、市場の価格形成機能を活用する可能性があるという。
 
 
 日経産業新聞,2016/02/18,ページ:2

 

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