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翌日の電力需要を予測、エネルギー・オプティマイザー、新電力向けAIシステム、実際との乖離5%以内。

2016.02.08

 電力向けシステム開発のエネルギー・オプティマイザー(東京・港、田川周作社長)は新電力向けに人工知能(AI)を使った電力需給管理システムを開発した。過去の天候と電力需要の相関関係を基に、翌日の需要を予測する。電力の予測量と実際の需要量との乖離(かいり)をプラスマイナス5%以内にできるのが特徴だ。
 開発したクラウド型のシステム「エネパSCM」はAIを実装し、電力の需要予測や電力取引管理、需要家への請求計算などができる。
 天候や温度と需要家の電力利用状況を蓄積し、AIで相関関係を分析する。分析データと天気予報などを組み合わせて、翌日の電力需要予測をはじき出す。システムを導入した新電力は需要予測を基に卸電力取引所や発電事業者など、どの調達先から電力を購入する方がコストを下げられるかの策定ができる。
 顧客情報管理(CRM)システムや請求書発行システムなどと組み合わせて提供する。価格は電力会社の顧客規模で異なる。ただ大手システム会社の場合、これらのシステムの初期費用は1千万円以上かかるが、同社の場合は半額以下としている。2016年に新電力15社への納入を目指す。
 エネルギー・オプティマイザーはネット広告支援のオプティマイザー(同、同)の子会社。親会社ではネット閲覧者の行動履歴などに基づき、閲覧者ごとに興味関心の高い分野の広告に絞って配信する「行動ターゲティング広告」の技術のノウハウがある。このノウハウを応用し、様々な周辺情報を基に電力需要を予測するシステムを作り上げた。(榊原健)
 
 
 日経産業新聞,2016/02/05,ページ:11