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H2O、「関西スーパー」に出資、協業を検討、首都圏「オーケー」に対抗。

2016.11.01

 エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)は関西の老舗スーパー、関西スーパーマーケットと資本業務提携する。H2Oが年内にも関西スーパー株式の約10%を取得する。セブン&アイ・ホールディングスに続く資本業務提携で関西市場での牙城を固める。関西スーパー株は首都圏地盤のディスカウントストアのオーケー(横浜市)が8%強を取得したことが9月に判明。関西スーパーは同じ関西地盤のH2Oと組み、オーケー側の動きに対抗する。
 27日に発表する。関西スーパーが実施する第三者割当増資をH2Oが引き受け、オーケーを上回る株式を取得する予定。取得額は数十億円となる見通しだ。
 関西スーパーは兵庫県伊丹市を本拠に、故北野祐次氏が1959年に創業した老舗。近代的な食品スーパー業態を国内に根付かせた業界の先駆者とされ、大阪府や兵庫県を中心に約70店舗を展開している。ただ近年は他社との競合激化や消費者の買い控えもあって業績は伸び悩み傾向だ。2016年3月期の連結売上高は前期比1%増の1200億円だった。
 一方、H2Oは約80店ある高級品に強い食品スーパーの「阪急オアシス」のほか、2014年に経営統合した約120店舗を営む総合スーパーのイズミヤも傘下に持つ。両社の店舗の多くも大阪府や兵庫県に集中しており、今後は商品調達や物流などでの協業を検討していくとみられる。
 関西スーパーを巡っては9月1日にオーケーが提出した大量保有報告書で関西スーパー株の5・60%を取得したことが明らかになった。2日には保有比率を8・04%まで引き上げたことも判明。3月末時点で10・07%を持つ取引先持株会に次ぐ2位株主に急浮上した。
 オーケー側は関西スーパーに将来的な経営統合なども視野に入れた提携を打診していたもよう。だが独立経営にこだわりたい関西スーパー側はにわかに受け入れ難かったもようだ。
 関西の消費者との接点拡大を進めるH2Oがかねて水面下で秋波を送っていたこともあり、関西地盤で相乗効果を生みやすいH2Oとの提携を選んだ格好。経営の独自性も保てると判断したもようだ。出資が完了すればオーケーの出資比率は薄まり、同社の動きをけん制する効果がある。今後はオーケー側の対応が焦点となりそうだ。
 関西市場では、百貨店を中心にスーパーや飲食店など多業態を展開するH2Oが地域に集中出店する「ドミナント化戦略」を加速している。今月6日にはセブン&アイとの提携を発表した。そごう神戸店(神戸市)など関西の百貨店3店舗を承継するほか、関西のセブンイレブン店舗に阪急阪神グループの共通ポイントを導入することでも合意済みだ。
 現段階では白紙だが、関西の消費者の利便性を高める観点から今後、セブン傘下のイトーヨーカ堂の関西店舗やセブンが15年に業務提携した大阪地盤のスーパー大手、万代との連携策が浮上する可能性もある。
 
 日本経済新聞 朝刊,2016/10/27,ページ:13