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駅構内の売店――コンビニ化、潜む危うさ(横山斉理の目)

2016.11.1

 コンビニエンスストアの膨張はまだまだ収まる気配がない。最近、各社が力を入れているのが病院、図書館、大学、高速道路のサービスエリア、駅など特殊な立地への出店だ。その一つとして駅構内にある売店がコンビニに姿を変えている。この流れは2010年代から活発になってきた。
 駅の売店がコンビニ化するといっても、売店のスペースが一般的なコンビニ並みになるわけではない。従来の売店スペースを基本に、できるだけスペースを確保するように改装が行われ、それにコンビニの看板がかかり、コンビニのビジネスモデルを導入するということだ。メリットはどのようなものだろうか。
 コンビニを導入する電鉄各社としては、きわめて洗練されたビジネスモデルを駅売店スペースで利用できるようになることで売り上げ増加を見込める。コンビニ各社は、店舗を増やすことでチェーン全体としての存在感や販売量を増やすことができる。
 この動きはしかし、利用客にメリットばかりをもたらすわけではない可能性がある。そもそも、駅での商品販売では利用客のどのような価値を提供していたのかを考えてみると売店のコンビニ化が内包する危うさが見えてくる。
 以前からある駅構内の売店の価値は、なんといっても取引のスピードである。現金をあらかじめ用意しておけば、売店での購買にかかる時間はせいぜい5秒程度である。決済機能付きのICカードで支払っても10秒あれば事足りる。そのため、ホームに電車が到着しつつある状況下でも、売店での買い物は可能である。
 これがコンビニに変わるとどうだろう。たとえば、ポイントカードをスキャンするなどの手数が増える。たった数秒のことであるが、ホームに電車が到着しつつある状況下では、この数秒が大きな意味をもつ可能性がある。さらには、チケットを発券したり、ネットで注文していた商品を受け取ったりできるようになるとすると、取引にかかる時間は飛躍的に増える。
 改めて浮き彫りになったことは、従来の売店は、電車の利用客のニーズ(=数秒を惜しんで買い物したい)に合わせて高度にカスタマイズされたビジネスだったということだ。それがコンビニ化することで、デメリットまでもたらしてしまいかねない。
 駅構内コンビニの商品やサービスのラインアップが今後どのようになっていくのか、目が離せない。
 
 日経産業新聞,2016/10/27,ページ:17

 

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