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電力小売り、広がらない契約変更――消費者、目安は「1割安」(今どき売れ筋インサイド)

2016.10.24

 4月に電力小売りの全面自由化がスタートして、半年が過ぎた。価格.comでも約1年前から「電気料金比較」のコンテンツを作り、消費者が電気の利用状況を入力すると最適な電力会社を選べるシミュレーション機能などを提供してきた。
 自由化の開始直前にはかなり好調なアクセス数を集め、消費者の関心の高さを実感したが、その時期を過ぎると関心も一気に薄れた感がある。
 電力広域的運営推進機関の発表によれば、9月末時点で電力会社を切り替えたという世帯の割合はわずか3%にとどまる。携帯電話やインターネット接続の料金なら「少しでも安いものを!」と真剣に調べて乗り換える人は多い。電力では、なぜここまで契約を変更しようとしないのか、少し不思議にもなる。
 価格.comでは今夏、サイト利用者を対象に、料金プランに対する「電力会社人気ランキング」をまとめた。1位は「Looopでんき」、2位は「ENEOSでんき」、3位が「エルピオでんき」となった。
 Looopでんきは、太陽光発電システム販売を主力とする新電力ベンチャー、Looop(ループ、東京・文京)が提供する。人気の理由はもっぱらその料金体系にある。基本料金が無料で、使っただけ課金する従量制を採用。価格.comのサイトでは、安くなると確認してから切り替える人が多い。
 JXエネルギーのENEOSでんき、LPガスのエルピオ(千葉県市川市)が運営するエルピオでんきも、やはり同様に料金の割安さが支持されている。
 大手電力の主な料金プランが電気を使うほど単価が跳ね上がるのとは対照的に、新電力では多くの電力を利用するほど単価を抑えられる仕組みが多い。比較的大家族の世帯に人気があり、月1万円ほど下がったという人もいるようだ。
 しかし、逆を言えば、単身や夫婦のみの世帯では月々の電気料金にあまり差が出ず、せいぜい数%、数百円程度という場合が多い。こうなると、わざわざ手間をかけて電力会社を切り替える必要があるのかと考えるのも無理のない話だ。
 当社が昨年11月に実施したアンケートでは、「どの程度電気料金が下がれば電力会社を切り替えるか」という設問で、もっとも多かった回答は「10%以上」。やはり割引率が1割を超えないと、積極的に切り替えようとはならないようだ。
 料金比較サイトなどを使って積極的に契約を変更しようという「意識の高い」消費者は少数派だ。多くの消費者は、切り替えようという意識すらないのが正直なところだろう。
 現在もっとも多くの契約変更を獲得したのは東京ガスや大阪ガスといった大手ガス会社。来春に予定されているガス自由化に対する顧客囲い込みにも迫られて、かなり広範囲に営業活動を展開している。
 個別訪問で勧誘できる営業力の強さがそのまま切り替えに結びついているといえる。そうでもしない限り、なかなか電力会社を切り替えようと思わないのが、多くの消費者の実態といえそうだ。
 
 日経MJ(流通新聞),2016/10/21,ページ:11

 

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