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タクシー、会員でお得――ポイント・割引…地方で固定客(耳寄りな話)

2016.10.24

 地方のタクシー会社が高齢者向け会員制度に力を入れている。事前に会員登録してもらい、利用に応じてポイントや運賃の割引などの特典を付与する。地方は自家用車を持つ家庭が多く会社員や主婦層の需要が少ないため、自分で運転できない高齢の利用者を安定して確保する。
 プリペイド機能とポイントカードを兼ねた「TACPO」という交通系カードを発行しているエムケイ(京都市)はシニア会員を組織し、同カードを保有するシニアに手厚いサービスを提供している。65歳以上を対象にした会員制度「MKグランシニア倶楽部」を2015年にスタート。当初500円だった入会料を16年6月から無料にした。
 通常TACPOは支払いやカードに入金するときに1ポイントあたり1円分のポイントを付与する。カードを使ってタクシー運賃を支払う場合還元率は2%だが、シニア倶楽部会員向けに発行する写真入りのTACPOは通常のポイントに加えて3万円利用するごとに500円分のポイントを加算する。誕生月と敬老の日は還元率が3倍になる。
 タクシーだけでなくグループが手掛ける他のサービスの需要拡大にも期待する。経済的な余裕があり消費意欲が旺盛な高齢者に固定客になってもらう狙いだ。日帰りバスツアーやボウリング施設はポイントで料金の10%を還元するほか、京都駅八条口にある同社のタクシーの待合室では無料のコーヒーを提供する。シニア倶楽部の会員数は1000人を超えた。
 勝山タクシー(北九州市)は65歳以上を対象に会員制度を導入している。会員はタクシーのメーター料金が1割引きになる。同社は国土交通省に申請をして割引の認可を受けた。14年6月にサービスを始め、2年間で登録者数が4300人に達した。今年に入ってからも7月末までに2割以上増えた。
 申し込みは車内の書類に名前や生年月日、住所を記入して乗務員に渡す。免許証やパスポートで本人確認と年齢確認をする。後日運賃が1割引きになる「ゴールドカード」を郵送する。同社のタクシーは街を走る「流し」だけでなく電話や日本交通の配車アプリ「全国タクシー」でも呼べるようになっており、高齢者からの指名を狙う。
 勝山タクシーはこの会員制度をサービスの改善につなげる考えだ。旅客輸送だけでないプラスアルファのサービスを目指しており、広石敏文社長は「まずは会員になってもらうことで利用者の意見を聞く機会を増やしたい」と話す。高齢者のタクシー乗車を手助けするサービスなどを検討しているという。
 タクシー業界は市場が縮小傾向にある。国土交通省によると14年度の全国の法人タクシーの輸送人員は14億3500万人で06年度から約3割減った。地方は需要の低迷が特に深刻だ。自分で歩けない高齢者は電話で予約する傾向が強く、タクシー会社を選ぶ可能性が高い。高齢者に継続して利用してもらえるような工夫が地方のタクシー会社の明暗を分けるかもしれない。(清水孝輔)
 
 日経MJ(流通新聞),2016/10/21,ページ:9

 

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