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H2Oの勝算(下)棚ぼたのコンビニ網――消費者との接点、より深く。

2016.10.13

 エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)がセブン&アイ・ホールディングスとの資本業務提携に踏み切った。H2Oが得た果実は、関西約2500店あるセブンイレブンという巨大な流通網だ。セブンの関西百貨店を承継して救済する代わりに、阪急阪神グループの共通ポイントの導入をのませた。生活総合企業に欠けていたコンビニエンスストアという最大のピースを手にする。
 「コンビニとの連携の行方を注視する」。11日に2016年3~8月期で最高益更新を発表した関西のスーパー最大手、ライフコーポレーションの並木利昭専務はH2Oとセブンイレブンの連携に警戒感をにじませた。なぜか。「関西の顧客との日々の接点を拡大できる」(H2Oの鈴木篤社長)からだ。
 事実H2Oは積極的なM&A(合併・買収)で消費者との接点を広げる「関西深掘り」戦略を進めてきた。11年に外食店の家族亭、14年には総合スーパーのイズミヤを傘下に収め、百貨店だけでは足りないパズルのピースを補ってきた。
 鈴木社長は「まだドラッグストアも家電量販店もない」と語るが、最も欲しかったのがコンビニなのは間違いない。セブンなど大手3社の寡占化が進み、自社での参入余地が極めて少ないからだ。セブン側からの提携打診は、埋め難かった大きな1ピースをはめる千載一遇のチャンスだった。
 折しも4月に百貨店や鉄道で別々だった阪急阪神グループのポイントシステムを一本化した「Sポイント」の運用を開始。消費者を囲い込む道具は整っていた。Sポイントを使えるカードの発行枚数は約750万枚と京阪神地区の世帯数に並ぶ規模。基盤は大きい半面、大幅な伸びは難しく「頻度をどれだけ高められるかが課題」(森忠嗣取締役)だった。
 大阪発祥のローソンを超え関西最大となったセブンイレブン網の活用で、日常生活でSポイントを使う頻度は格段に高まる。通勤通学や百貨店での買い物でたまったポイントをコンビニで使う。逆に日ごろコンビニでの買い物でたまったポイントがあれば百貨店でたまには買い物する動機づけにもなる――。そんな期待も透ける。
 課題は百貨店に次ぐ規模のイズミヤ事業の収益力向上だ。不採算店の閉鎖や高級食品スーパー、阪急オアシスとの仕入れ共通化などで黒字体質になった。ただ、16年3月期の売上高営業利益率は1・5%と百貨店事業の約半分。物流改革などで効率化を進める一方、Sポイントをフックに百貨店、スーパー、コンビニと多層的に消費者を絡め取り、利益率を高められるか。H2Oの実力が試される。
 
 日本経済新聞 地方経済面 近畿A,2016/10/12,ページ:9

 

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