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スマホ充電の環境整備――電波に続きようやく始動(奔流eビジネス)

2016.10.13

藤元健太郎
 Wi―Fiなど街中の通信インフラの整備が進み、電波はどこでも使える状況になった。一方で残念ながらもうひとつの重要なインフラ、電気についてはどこでも使えるという状況にない。
 スマートフォン(スマホ)は電池の減りが早く、すぐに充電を必要とするので困ることも多い。そんな中、有料でスマホを充電できるサービス「espot(エスポット)」の実証サービスがスタートした。
 勝手にコンセントから電気を取ることは窃盗になる。以前、JR駅構内のコンセントを勝手に使っていた人が訴えられるということもあった。ただ充電ニーズは高く、今は喫茶店やホテルなどがサービスとして無償で貸しているところも多い。
 しかし、使い勝手が良くないことはしばしばある。例えば新幹線の座席も窓際には無料のコンセントがあるが、通路側しか席が取れなかった場合は、窓際の人の様子をうかがいながら使わせてもらわなければならない。
 こんな時は、有料でもいいから堂々と使いたいという気持ちになる。提供側も無料サービスでなく、電気代が回収できればきちんと設置するモチベーションも高まる。エスポットはそれを実現するサービスだ。
 エスポット端末にはコンセントやUSBの差し込み口がある。ここに充電ケーブルでスマホを接続し、プリペイドカードをかざすなどして決済すれば充電が始まる。
 現在はローソンなどを中心に東京23区内の36カ所で使えるようになっている。サービスを提供する東京電力エナジーパートナーの冨山晶大マネージャーは「ローソン側としても充電するために来店してもらい、充電中にイートインスペースで食事する人が増えれば販売単価の増加につながるという狙いもあるようだ」と語る。
 費用は20分100円のところが多い。通常の電気代と比べると当然ながらかなり割高だが、それほど高くは感じないのではないだろうか。
 外出先でスマホの電池残が少なくなった時はかなり焦る。大事なビジネスシーンや友人と待ち合わせ場所を決めていない時などお金を払ってでも電池が欲しい状況は多いだろう。
 先日の「ポケモンGO」フィーバーの時も、スマホの充電池がたくさん売れた。自宅の電気代は電力自由化を受けて少しでも安いものを選択できるようになってきているが、同じ電気でも「高くても買いたい」状況がある。まさにサービスの価値は状況に応じて変わるものであることを実感させてくれる。
 実は筆者もこのサービスの最初の企画段階で関わっていた。最初に企画していた2005年当時はまだガラケーの時代で、電気自動車もこれからというタイミングだったが、それでも充電ニーズは急激に増えていくと考えていた。
 あの頃に比べると今はスマホ全盛期で当時よりもニーズははるかに高まっている。電力会社も東日本大震災などを乗り越え、こうしたサービス提供の準備が整ってきたことはうれしい状況だ。
 課金インフラさえ整えば、その場で商品を買った人だけ使えるようになるとか、カード会費を払っている人はいつでも使えるといった、様々な顧客サービス展開も可能になるだろう。電波の次の、もうひとつのモバイルインフラの登場と可能性に期待したい。(D4DR社長)
 
 日経MJ(流通新聞),2016/10/07,ページ:6

 

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