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LINEでガス器具販売、日本瓦斯、AIが応答・製品提案、自由化控え顧客開拓。

2016.10.03

 LPガスや都市ガスを販売する日本瓦斯は、スマートフォンの対話アプリ「LINE(ライン)」を使ったガス器具の販売を始める。利用者が要望を書き込むと、人工知能(AI)が自動で対応する。10月から開始する。来年4月の都市ガス小売り全面自由化など競争環境の激化をにらみ、最新のIT(情報技術)技術を取り込んで顧客サービス拡充を狙う。
 日本瓦斯は9月にビッグデータ解析やAI開発を手掛けるメタップスと資本業務提携した。今回の取り組みが両社の共同開発によるサービスの第1弾となる。
 10月1日からLINE内に公式アカウント「ニチガス」を作り、ガス給湯器やコンロ、ファンヒーターを販売する。ガス事業者がLINEを使った販売サービスを提供するのは初めて。
 利用者が「トーク」画面で、「ファンヒーターが欲しい」などと書き込むと、メタップスが開発したAIがクラウド上のサーバーで内容を分析し、製品情報などを即座に返答する。設置場所の寸法などを書き込めば、条件に合った製品を絞り込んで提案する。利用者は日本瓦斯の担当者と直接やり取りしている感覚で商品が購入できる。
 サービスの提供エリアは東京や神奈川など1都9県。24時間365日利用が可能で、製品購入時の決済まで同一サイト内でできる。年内には、ガス料金や点検日などを知らせる機能も追加し、使い勝手を高める。
 日本瓦斯は新サービスをてこに、2018年3月期にガス器具の販売台数で前期比2倍以上となる10万台超を目指す。特にスマホやLINEに慣れ親しんだ20~30代の顧客層開拓につなげたい考えだ。
 日本瓦斯はLPガス販売の国内最大手。首都圏でLPガス約77万件、都市ガス約40万件の顧客を持つ。4月に全面自由化された電力小売りでは、東京電力ホールディングス(HD)と組んで電気とガスのセット販売にも乗り出した。来春のガス自由化をにらみ、顧客サービス強化や認知度向上で、同業他社に先手を打つ。(指宿伸一郎)
 
 日経産業新聞,2016/09/28,ページ:13