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インタビュー/Jパワー社長・渡部肇史氏-「新電力の供給増やす」

2016.09.12

 4月からの電力小売り全面自由化に合わせ、電力の卸供給事業にかかる規制が撤廃され、既存の電力会社の事業を「補完」する立場から解き放たれたJパワー。経営の自由度が高まり、新規参入事業者(新電力)にも電力を供給しやすくなった一方、青森県大間町で建設中の大間原子力発電所を巡る周辺自治体の訴訟など課題もある。6月に就任した渡部肇史社長に今後の事業方針を聞いた。  
 ―経営環境はどう変わりましたか。
 「小売り全面自由化で、新電力からの引き合いが増えている。古くからの卸先である電力会社でも、原子力発電所の運転停止で電源不足が続いているが、切り出せる分は条件が合えば新電力にも供給していきたい。鹿島火力発電所(茨城県鹿嶋市)2号機など計画中の火力発電所が運転を始めたら、新電力への供給量も増やせる」
 「電力会社との契約でも、供給期間などを柔軟に決められるようになってきた。今後も電力会社が主要な卸先となるのは間違いないが、その中でも新電力や卸市場への供給を増やしていきたい」
 ―大間原発の建設凍結を求める北海道函館市や地域住民と係争中です。一部の投資家も原子力事業参入を疑問視していますが、どう理解を求めますか。
 「原子力発電所を巡る司法リスクは高まっており、草の根のような努力で地域の理解を求めたい。大間は国のエネルギー安全保障上、重要な役割を担う。フルMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料に対応するサイクル政策の要である点を理解してもらいたい。ただし投資は確実に回収する必要がある。国への支援要請も含め、投資回収のあり方を検討する」
 ―海外での発電事業はどう進めますか。
 「インドネシアのジャワ島で伊藤忠商事などと進めている石炭火力発電所建設事業の融資契約がまとまり、一息ついた。新しい案件探しにも本腰を入れる。市場規模や参入リスクを考えると、次の候補地としてベトナムが視野に入る。ただし国・地域は限定せず、アジアや米国などで幅広く検討していきたい」
 ―新興国への石炭火力技術の輸出で中国とどう競いますか。
 「中国の価格競争力は高いが、電力を安定供給できなければ意味がない。中国の技術は日本に比べ遅れている。うちは石炭火力発電所を、ライフサイクル全体を通して操業してきた。この点を支持してもらえると考える」
 【記者の目/電力自由化、制度面の工夫必要】
 自前の電源がない新電力の間では、電力の調達先としてJパワーへの期待が大きい。だが卸規制が撤廃されても、渡部社長が言う条件面で、中小の新電力が資金力や購買力で勝る電力会社の上をいくのは容易でない。全面自由化を成功へ導くには、中小の購買力の弱さを制度面で補う工夫が必要と言える。(編集委員・宇田川智大)
 
 日刊工業新聞,2016/09/06,ページ:3

 

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