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新電力に切り替えなくても――省エネ浸透、電気代安く(サーチライト)

2016.08.29

 あまり話題にならないが、電力業界の取材を通じて最近気になる数字がある。大手電力10社が出している「使用電力量の標準モデル」だ。この電力量、相次ぎ下方修正されているのだ。
 地域性や気候により電力の使用動向は若干の差があるが、多くの大手電力が月間使用量を「300キロワット時」と設定。ファミリー世帯などを想定している。そのため電力小売り全面自由化で新規参入する新電力も、300キロワット時を標準の使用量としてモデル料金を算出したケースが多かった。
 ところが今年に入り、東京電力エナジーパートナー(EP)を皮切りに、四国電力、中国電力、中部電力、東北電力の5社が、標準モデルを相次ぎ260キロワット時に引き下げることを決めた。各社とも直近数年間の平均使用量を算出したところ、以前に比べて減っているため見直したという。
 東北電を除く4社は40キロワット時、東北電は20キロワット時の引き下げ。既存の料金単価で計算すると、40キロワット時で月1000円強、つまり年間1万円以上安くなる。
 東日本大震災以降、各家庭で省エネの取り組みが浸透したことが大きい。
 電力自由化では大手電力と新電力が価格競争を展開。月300キロワット時使用している家庭が契約を切り替えると「年5000円安くなる」とうたう新電力もある。標準モデルの下方修正は大手電力にとって、料金を「安くみせられる」狙いもあるようだ。とはいえ、契約を切り替えずとも、消費者の省エネ努力で、電気代が年1万円以上削減「できちゃった」のだ。
 電力契約を切り替えた割合は全世帯の2%超。切り替えペースも鈍化し、停滞感は鮮明だ。もしかしたら消費者自身の省エネで電気代が削減できたことも1つの要因かもしれない。そして新電力には新サービスなど消費者をひき付けるさらなる工夫が求められている。(志賀優一)
 
 日経産業新聞,2016/08/25,ページ:11

 

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