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フィンテックの未来(4)デロイトトーマツコンサルティングシニアコンサルタント平林知高氏―電子財布に海外との違い。

2016.07.04

 モバイルウォレットとは、一般的にクレジットカードや電子マネー、ポイントカード等の各種カードをスマートフォン(スマホ)に格納した電子的な財布をいう。スマホの機能向上の一つとして、決済機能を搭載し、顧客囲い込み戦略の一環として近年、携帯電話関連事業者が参入してきている。
 例えば2014年に米アップルがサービスを始めたApple Payは、世界5か国(米国、英国、カナダ、オーストラリア、中国)で提供されている(日本でのサービス開始時期は未定)。その後、韓国サムスン電子がSamsung Payを米、豪、韓国で始め、米グーグルもAndroid Payを米、英で提供している。
 一方、日本では海外よりも10年早い04年に「おサイフケータイ」として、サービスが開始されている。クレジットカードは搭載しておらず、楽天Edy、Suica等の電子マネーを中心に利用されている点が海外とは異なる。
 日本のおサイフケータイが利用可能な場所は、JRをはじめとした鉄道の自動改札機、コンビニエンスストア等の小売店の他、多くの場所に広がっている。
 一方、海外のモバイルウォレットが、日本でサービス提供を開始したとしても、おサイフケータイが利用可能な場所でそのまま利用できるわけではない。モバイルウォレットの非接触通信方式が、日本と海外では異なるためである。海外のモバイルウォレット普及に向けては、海外の非接触通信方式に対応した端末の導入が必要である。
 実際のところ日本では、非現金決済の比率が2割弱にとどまる。米国は4割程度と2倍以上のかい離があり、非現金決済に課題がある。原因の一つとして、店舗側で非現金決済の仕組みの導入遅れがあげられる。
 こうした課題解決に向けては、非接触通信方式だけでなく、QRコードやブルートゥース等様々な方式を使った決済方法の実現が可能となる専用のアプリケーションを開発することが望ましい。このような仕組みが広がれば、店舗側での非現金決済の仕組み導入も広がると考えられ、日本でもスマホさえあれば決済できる時代が到来すると思われる。
 ひらばやし・ともたか 政府系金融機関を経て現職。中小企業金融の他、企業の成長戦略策定、データ利活用に向けた事業戦略に強みを持つ。
 
 
 日経産業新聞,2016/07/04,ページ:18

 

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