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ポイント、現金に近づく――税や公共料金支払いにも(M&I)

2016.07.04

 買い物などをすると一定額がもらえるポイント。ポイントがたまったり、使えたりするのが銀行や公共料金、税金に広がり、現金とほぼ変わらない存在になりつつある。ポイントの付与率が高い例もあり、マイナス金利の影響で預金金利が低下する中、家計を助ける手段の一つになりそうだ。
 都内の主婦Aさん(40)は毎月、出費ゼロで120円相当のポイントを手にしている。利用しているのは新生銀行が4月に拡充した「Tポイントプログラム」。他行から1回1万円以上を振り込むと、1ポイント1円相当の共通ポイント「Tポイント」が月最大100ポイントもらえる。従来は同10万円以上で、50ポイントだった。
銀行が積極導入
 Aさんは別の銀行に一定回数までなら他行への振込手数料がかからない口座がある。この口座から新生銀に月1万円ずつ振り込んで、まず100ポイントを確保。所定のコンビニATMで取引すれば月最大20ポイントがもらえる仕組みも利用し、合計120ポイントだ。「1万円を振り込んで引き出すだけで年1440円分のポイントだから、超低金利の預金に比べて魅力的」とAさんは話す。
 ポイント制度を導入する銀行が今春以降相次いでいる。青森銀行が3月にTポイントサービスを始めたのに続き、スルガ銀行が5月に共通ポイント「Ponta」と交換できるポイントがたまるネット支店を開設。清水銀行は今秋、取引に応じてPontaがたまる制度を始める見通しだ。低下が続く預金金利では他行との違いが打ち出しにくいため、ポイントで利用者を取り込もうとする狙いがある。
 こうした事情は電力会社も同じ。4月に電力小売りに参入した東京ガスは、一般家庭向けプランで電気代1000円ごとに15ポイントを付与する。付与率は1・5%と高く、電気代が月1万円なら年1800ポイントになる。電気代をクレジットカードで払うと通常はクレジットカードのポイントも付くので「ポイントの二重取りが可能になる」(東ガス)。
 新電力を迎え撃つ東京電力系も新プランでTポイントまたはPontaの付与を始めた。付与率は0・5%だが、東ガスと同様にクレジットカードのポイントと二重にもらうことができる。関東地方に限り、所定プランの2年契約を新規に結ぶと8000ポイントを付与している。
 ポイント制度に詳しいポイ探(東京・中央)の菊地崇仁代表は「来年4月にはガス小売りの自由化があり、ポイントを付与する会社はさらに増えそうだ」と予想する。電気・ガスなど公共料金でポイントをためる動きは一段と広がる可能性が大きい。
 こうして効率良くためたポイントを支出の一部に充てれば、家計の改善が期待できる。税金や公共料金など支出する金額がほぼ一定の費目が選択肢で、ポイントで払える例は増えている。
 ヤフーが手掛けるネットサービス「ヤフー!公金支払い」はクレジットカードで税金などを納める際、Tポイントを利用できる。固定資産税、自動車税といった地方税や水道料金などが対象。都度払いできる自治体は約130に上る。自治体や金額によっては決済手数料がかかる。
 電子マネーに交換できるポイントも納税などに使える場合がある。例えば各種クレジットカードなど多くの提携ポイントから交換できる「nanaco」。コンビニのセブンイレブンで、地方税や水道料金の支払いに使える。対象の自治体はまだ一部で交換手続きの手間はかかるが、決済手数料は不要だ。
 今後は電気代をポイントで払える例も広がりそうだ。中部電力は9月、Tポイントや日本航空マイルを一部プランの電気代支払いに使えるようにする(中部電力の会員ポイントへの交換手続きが必要)。東京電力系もポイントでの電気代支払いを来年をメドに始めることを検討している。
ネットで管理
 ポイントを支払いに使うことを前提にするなら、残高や有効期限といった細かい管理が欠かせない。専用サイトで管理するネットサービスが便利だ。ポイント情報サイト「ポイ探」のほか、ネット家計簿の「マネーツリー」や「マネーフォワード」はいずれも100種を超えるポイントに対応する。ポイントごとの残高や期限を自動的に更新し、一覧でみることができる。
 一方、リクルート系のアプリ「ショプリエ」は複数のポイントカードの情報を登録できる。店頭でスマートフォン(スマホ)画面にカードの情報を呼び出して読み取ってもらうと、ポイントがたまる仕組みだ。スマホ画面がカード代わりになり、カードを持ち歩く必要がない。
 野村総合研究所は家電量販店やクレジットカード、航空会社など主要企業のポイントとマイルの発行額が2020年度に1兆92億円に拡大すると予測する。ポイントは現金と同じように上手に「ためる」「管理する」「使う」ことが大切になる。(堀大介)
まめ知識
「おまけ」的扱い
利用者保護は未整備
 ポイントは企業が利用者への「おまけ」として発行するため、利用者保護の法的な規制はない。ポイントの支払いに備えて一定の保全措置を取るかどうかは発行者の判断に任せている。「もし経営破綻すれば、ためたポイントがすべて無価値になる可能性がある」と西村あさひ法律事務所の有吉尚哉弁護士は指摘する。
 一方、対価を払って入手するなどの条件を満たす電子マネーは未使用残高が一定額を超えれば、発行者は残高の2分の1以上の供託などが義務付けられている。ポイ探の菊地氏は「ポイントは無用にため込まず、目的を決めて使っていくことを心掛けよう」と助言している。
 
 
 日本経済新聞 朝刊,2016/06/29,ページ:22

 

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