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買い物の「相棒」はスマホ―利用伸びるデジタル機器向け集客策、お得なアプリ使い分け。

2016.05.30

ポイント
(1)スマホを介したショッパー向け施策の利用割合が2013年に比べ22・2ポイント増と大幅拡大
(2)クーポンやポイントなど特典が明確な施策の利用率が高い傾向。特にデジタル施策が伸びる
(3)約半数がショッパー関連アプリを利用。レシピ検討、店内での情報収集、家計簿作成など状況は様々
 博報堂DYホールディングスのグループ横断組織「ショッパー・マーケティングセンター」では、買い物をする生活者(ショッパー)の購買行動および購買行動に及ぼすコミュニケーションの影響を研究している。その一環で家庭での買い物主担当者に調査をし、様々な企業が提供するショッパー向け施策の利用実態を検証した。
 近年、ショッパー向け施策は、クーポンやチラシなど店舗で特典や情報が手に入るものから、PCやスマートフォン(スマホ)などデジタル上でより簡単に受け取ることができるデジタル施策、そして、その情報が自分向けにカスタマイズされたパーソナライズ型施策などへと多種多様な形で進化を見せている。
 大きな要因はスマホの普及だろうと考えられる。2013年と15年の2回の調査でそれぞれショッパー施策を体験する時にどのデバイスを利用するかを比較した。PC、スマホ、タブレット、その他のデバイス全体を100%とし、各デバイスがどのくらい占めるかという比率では、スマホが13年の調査から22・2ポイント増の73・0%増と断トツのトップとなり、PC(23・3%)の約3倍にまで拡大している。
 博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所の調査によると、スマホの所有率(東京)が13年度から15年度にかけて45・0%から69・2%に増えていることから、スマホ普及に合わせてショッパー向け施策でもスマホ活用が広がっていることが見て取れる。
 施策内容に目を向けると、利用率がもっとも高いのは、「レジで渡される値引きクーポン」で60・1%。次いで「会計の際に現金値引きが受けられるお店のポイントサービス」(55・7%)、「店舗の種類が異なっても、共通してためて使えるポイントカード」(52・2%)、「お店から送られるメルマガに掲載されている、お得情報やクーポン」(52・2%)、「商品券やグッズとの交換や他社ポイント移行ができる、お店のポイントサービス」(51・5%)となった。上位を占めたのは、ポイントやクーポンといった実利的な特典のあるものだった。
 一方、13年調査に比べて利用率が伸びたのは「レジで渡される値引きクーポン」で22・2ポイント増となった。このほか、「SNSで送られてくる、お店のお得情報やクーポン」(18・4ポイント増)、「お店から送られるメルマガに掲載されているお得情報やクーポン」(17・9ポイント増)なども利用率が拡大しており、デジタル施策の利用拡大が顕著にみられた。また近年、新サービスとして現れ始めた、「自分にあったおすすめ商品を案内・提示してくれるような機能やサービス」の利用率は8・6%とまだ低いものの、満足度においては13年に比べて18・3ポイント増と向上しており、今後の浸透が期待される。
 スマホでのショッパー施策利用の拡大が見られる中で、アプリに焦点をあててみると、ショッパー一人あたりの買い物関連アプリ(特定企業が提供するものは除く)の平均利用個数(買い物関連アプリに対して「現在利用している」と答えた平均個数)は2・15個となった。使っているものは「レシピアプリ」「チラシアプリ」「レジクーポンアプリ」「家計簿アプリ」など多様。本調査と同時に実施したインタビュー調査でも、日常の買い物行動において様々なアプリが実際に活用されている状況が確認できた。
 買い物の計画ではレシピアプリやチラシアプリを利用する主婦が多く、利用タイミングでは店に行く前に自宅や移動中の電車内で利用するだけではなく、店内で「目に入った食材や商品からどんな料理ができるのかをアプリで検索する」といった声も聞かれた。店内でスマホを片手に情報収集しながら買い物をする主婦の姿が増えそうだ。
 またインタビュー調査でも、割引やポイント付与クーポンなど実利型の施策を支持する声が多く、アプリに届くクーポンが、「新商品や購入経験の無い商品を試すきっかけになっている」という声が聞かれた。ただ、日々受け取る情報量が増加しており、自分向けに最適化された情報を望む人が多かった。例えば過去の購買傾向を元に適切な商品をすすめたり、位置情報に基づいて近隣店舗に関連した情報が届けられたりなど一人一人に最適な内容、最適なタイミングでの情報提供が期待されている。
 スマホの普及によって生活者が情報を取得し活用する下地は整っている。企業などから提供されるショッパー向け施策の体験を通じ生活者の目がますます肥えていく中で、より精度の高い情報提供が望まれているといえるだろう。
(博報堂DYホールディングスショッパー・マーケティングセンター 飯田大輔、田村耕人)
 【調査の概要】2015年10月にインターネットで「ショッパー施策受容性調査」を実施。全国の20~40代の女性でスマートフォン利用者を対象にした。3445人を事前にスクリーニング調査し、本調査の有効回答数は433人。
 
 
 日経MJ(流通新聞),2016/05/30,ページ:2

 

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