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ヤフーも電子マネー、ネット通販、決済機能拡大。

2016.04.25

 ヤフーはインターネット通販などの決済機能を拡大する。独自の電子マネーを今夏から提供し、2017年春には飲食店などの実店舗でも利用できるようにする。ネット通販の支払いで銀行の預金口座から直接、購入代金を引き落とすサービスも導入。ネット上でのクレジットカードの使用に不安を感じる消費者層を開拓する。
 ヤフーが電子マネーを手掛けるのは初めて。電子マネー「ヤフー!マネー」はヤフーのIDを取得し、銀行口座などを登録すれば、口座から100円以上1円単位でチャージできるようになる。
 利用を促すため、オークションの落札代金の受け取りに電子マネーを使うと、代金の2%が電子マネーで上乗せされる仕組みを導入。電子マネーを友人に送り、商品やサービスの料金を割り勘にする機能も盛り込む。
 銀行口座からは電子マネーのチャージに加え、商品の代金などを直接引き落とすサービスも始める。みずほ銀行や三井住友銀行といったメガバンクと横浜銀行などの地方銀行を合わせ、年内にも約40の金融機関と連携する。ネットサービスの決済が預金口座から直接できるサービスは珍しい。
 野村総合研究所によると、国内の電子マネーによる決済の市場規模は約4兆円。20年度には11兆円に拡大する見通しだ。セブン&アイ・ホールディングスの「ナナコ」や楽天の「楽天エディ」、東日本旅客鉄道の「スイカ」など流通系、通信・ネット系、交通系の電子マネーが競合し、それぞれの電子マネーが共通ポイントとの連携などにも取り組んでいる。
 検索サイトからサービスを始めたヤフーはニュースや天気予報を加え、閲覧数を含めた広告で稼ぐビジネスモデルを構築してきた。広告に頼るビジネスモデルからの脱却を目指し、現在は成長が続くネット通販市場の取り込みを急いでいる。
 決済関連でもクレジットカードや共通ポイント「Tポイント」の導入などで消費者がネット通販を利用しやすい環境を整えている。ただ、現状は他社のクレジットカードや決済サービスを使う利用者が多い。独自の電子マネー導入などでさらに決済機能の競争力を高めることでネット通販やオークションの利用拡大にもつなげる。
 
 
 日本経済新聞 朝刊,2016/04/19,ページ:13