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電力自由化、切り替え53万件、1週間で4割増、9割が首都圏・関西。

2016.04.11

 一般家庭が電力の購入先を選べる電力小売り全面自由化について、国の機関は8日、1日時点の契約切り替えが約53万件に上ったと発表した。3月25日時点より約4割増えた。自由化から1週間。顧客獲得が集中しているのは都市部で、切り替えの9割弱が首都圏と関西圏だ。より強固な顧客基盤を持つガス会社や石油元売りなどの新電力が先行する状況が続く。
 電力広域的運営推進機関がまとめた電力契約の切り替え件数は1週間で約15万件増加したが、全国世帯数に占める割合は1%未満にとどまる。
 8兆円規模に上る家庭向け電気市場。値引きの条件は複雑で一概に表現するのは難しいが、年間電気料金が15万円超の世帯なら1万円前後下がることが多い。首都圏と関西圏での関心が高く、本業で多くのユーザーを抱える新電力勢が堅調に契約を伸ばしている。
■ガス・石油が先行
 契約切り替えの前段階のデータである申込件数は、東京ガスが4日時点で24万2千件に達した。3月中旬時点に比べて2倍に。すでにガスで契約しているという安心感があり、都市ガス契約とのセット割を多く獲得している。戸建てに住む大人数の家族などの需要が多いとみられる。
 大阪ガスも11万件を超えた。本荘武宏社長は「見込み通りの契約数が獲得でき、スムーズなスタートが切れた」と語る。
 JXエネルギーは約10万件を獲得した。割安な料金に加え、電気の契約を結ぶとガソリンや軽油のクレジットカード払いの値引き幅が上乗せされるサービスが人気だ。
 東京急行電鉄子会社の東急パワーサプライ(東京・世田谷)は3万件を超えた。渋谷や横浜など東急主要駅の定期券売り場に特設ブースを設置するなどして売り込む。定期券や東急カードなどと連携したサービスを武器に「沿線住民を中心に計画通り獲得できている」(同社)という。
 ただ、首都圏での参入企業全てが万単位の申し込みを獲得できているわけではない。九州電力子会社九電みらいエナジー(福岡市)は約300件にとどまっている。首都圏に住む人に代わって、九州の実家などに安否確認の電話を入れたり訪問したりするユニークなサービスをセットで提供することで顧客増を狙う。
■トラブル対応カギ
 一方、東京電力ホールディングスは首都圏の既存顧客の囲い込みに奔走する。傘下の東京電力エナジーパートナーが、使用量が多い家庭向けに最大5%安くする新メニューを導入。申し込みは約30万件に上り新電力に奪われるのを防いだという。小早川智明社長は「自由化は始まったばかり。サービス追加やアライアンス(提携)拡大を検討していく」と意気込む。
 全般には消費者は様子見である中、今後、トラブルへの対応もカギとなりそうだ。1万件を獲得したエイチ・アイ・エスグループの新電力、HTBエナジー(長崎県佐世保市)はシステム連携で不具合が発生。ほとんどの顧客への供給が予定から遅れており、原因究明を急いでいる。
 また電気料金には原油など燃料価格を反映する独特の制度がある。今後の動向次第では電気料金が上がり、新プランに切り替えても割安感を得にくい可能性もある。
 
 
 日本経済新聞 朝刊,2016/04/09,ページ:2

 

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