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電力自由化、米社が参入、「価格安定、信頼つかむ」、スパークエナジー、クローカー社長兼CEO、幅広いデータで需給予測。

2016.04.04

 電力小売り全面自由化が1日始まった。米ナスダック上場の電力会社スパークエナジー(テキサス州)は、新電力のイーレックスと合弁会社を立ち上げて日本市場に参入。自由化で先行する米国の経験を生かし、顧客開拓を狙う。米スパークのネイサン・クローカー社長兼最高経営責任者(CEO)に戦略を聞いた。
 ――日本市場をどう見ていますか。
 「米国は州ごとに電力の規制が異なるが、日本は規制が全国ほぼ同一だ。我が社が地盤とするテキサス州と、日本が似たような電力市場の環境にあると思っている」
 「テキサスは4つの大手電力会社に対して新規参入が挑んでおり、電力会社は現在100社を超える。日本は10社の電力大手に新電力が立ち向かう構図だと聞いている」
 ――米国で40万の顧客を抱えています。他社との違いは何ですか。
 「3つの柱を掲げている。『価格が安いこと』『価格が安定していること』『再生可能エネルギーなど環境に配慮したメニューもあること』だ」
 「なかでも価格の安定性は重要だ。契約当初は安くても、燃料費の上昇などで電気料金がすぐに変動すると困惑する消費者も多い。我が社は最長3年間単価を固定するメニューも用意し、長期契約を結ぶ顧客も多い」
 ――新電力イーレックスと作った合弁会社で日本をどう攻めますか。
 「我が社が20%出資して家庭向け電力小売会社、イーレックス・スパーク・マーケティング(東京・中央)を設立した。米国で15年以上培った小売りノウハウと、イーレックスが得意とする企業向け高圧小売りのノウハウを組み合わせて、他の新電力にはない独自の事業運営モデルを作る」
 「販売代理店契約を結ぶ全国の液化石油ガス(LPG)販売会社のトップとも会ってきた。消費者に電力小売り自由化について正しく理解してもらうことが先決だと話してきた。米国でも自由化当初、電力会社の切り替えで停電が起きると誤解する消費者が多かった。消費者に恩恵があることを理解してもらい、信頼関係をつくることが契約拡大への道だ」
 ――米国での知見をどう生かしますか。
 「米スパークは戸別訪問、電話、ネット、ダイレクトメールなど多様な販売チャネルを用意し、消費者の居住地域や電力の利用状況、反応などを見て接触方法の手順を変えるノウハウを蓄積してきた。これを日本でも生かしていきたい」
 「販売と並んで重要なのが電力需給管理だ。いかに正確な需要予測をはじき出し、それに見合った割安な電力を購入するかが、収益を高めるカギとなる。天候や時間ごとの使用量や解約率など様々なデータを分析し、電力需給を正確に予測する技術を米国で培った」
 ――日本での目標は。
 「我が社は少額出資だが、合弁会社が日本市場で存在感を高められるよう育てたい。将来は日本で50万件の契約を獲得したいと思う。販売だけでなく、電源調達やトレーディングでもイーレックスと協力を深めたい」
 「米国は自由化当初、電力会社の切り替え率が低かった。切り替えが加速したのは政府がテレビや新聞で啓蒙活動したことが大きい。消費者の関心を高めるには、民間の電力会社だけではなく、政府を交えた大々的なキャンペーンが必要だ」
 野村総合研究所が3月、全国の消費者に電力小売り全面自由化の認知状況を聞いたところ、全体の25%は内容を把握していないとの結果が出た。電力会社を切り替えると電力供給が不安定になり、停電が起きるといった誤解が依然多い。
 クローカー最高経営責任者(CEO)はインタビューで、消費者に自由化を正しく理解してもらうのが一番大切だと何度も強調していた。電力会社間で目先の顧客を争奪しあう前に、電力市場に関心を抱く消費者を増やして市場のパイを広げる。価格競争だけでは新市場の果実をつかむのは難しそうだ。
 
 
 日経産業新聞,2016/04/04,ページ:11

 

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