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家計争奪、特色競う、電力自由化スタート。

2016.04.04

 電力の小売り全面自由化が1日に始まる。年間8兆円ともされる新たな市場を巡り、電力大手と異業種参入組が入り交じった争奪戦がさらに激しくなる。参入組は単なる価格競争ではなく、既存事業を組み合わせた特色あるサービスづくりに知恵を絞る。大手も地域を越えた顧客獲得に乗りだしている。(1面参照)
ガス・石油会社、セットで割引
営業力生かし先行
 全面自由化される電力小売市場で、大きな存在感を示しているのがガス・石油会社だ。なかでもガス会社はガス機器の販売でつくり上げた一般家庭への強い営業力を生かして先行する。
 東京電力管内で約1100万世帯に都市ガスを供給する東京ガスは、電力小売りの予約件数が15万件を超えた。電気とガスをセットで購入すると年間約3千円を値引くプランを用意した。
 関西電力管内では、大阪ガスの予約件数が6万件を超えた。東ガスと同じく電気とガスをセットで販売するプランを用意しており、関電の現行料金に比べて最大5%程度安くなる。
 石油元売りも人気を集める。最大手のJXエネルギーは東電管内で「ENEOSでんき」を販売する。1カ月の電力使用量が180キロワット時を超える世帯だと、現在の東電料金よりも安くなる。使用量の多い世帯は10%以上の値引きになる。提携カードの会員になると、ENEOSの給油所でガソリンを1リットル当たり1円を値引きする。予約件数は7万件を超え、数年内に50万件まで増やす。
 東燃ゼネラル石油も幅広い世帯が値引きになるプランを用意した。使用量が増えるほど値引き率が高くなり、最大13%程度になる。昭和シェル石油は電力の契約者に、系列給油所でガソリンを1リットル当たり10円値引く独自サービスを提供する。
再生エネでアピール
大手並み低料金で販売
 太陽光など再生可能エネルギーを主力電源にすることで、価格以外で他社との違いを消費者にアピールする企業もある。
 ソフトバンクグループは4月下旬から、全体の約6割を再生エネでつくった電気を販売する。建設中を含めて全国30カ所以上ある太陽光や風力の自社発電所の電気を活用し、大手電力並みの料金で電気を購入できる。まず北海道と関東から始めたうえで、全国へ広げていく計画だ。
 地元の再生エネ電源を使ったビジネスも相次いで登場している。福岡県みやま市が出資する新電力、みやまスマートエネルギー(みやま市)は同市内にある太陽光発電設備からの電気を購入し、市民を中心に販売する。水戸市や東京都世田谷区でも、新電力ベンチャーが電力の地産地消を売りにしたビジネスに取り組んでいる。
迎え撃つ電力大手
首都圏主戦場 
地元出身者に的
 地域の電力大手が首都圏を主戦場に相次ぎ越境進出している。東北電力や九州電力など6社が、自社の発電所で発電した電気を運んだり、取引市場で調達したりして供給する。顧客獲得目標は1千件限定から2~3年内に3万件と企業によってバラバラだが、首都圏に住む地元出身者らからの契約獲得を目指す。
 九電グループの九電みらいエナジー(福岡市)は、契約者向けに「親孝行サポート」「みまもりサポート」のサービスを始める。九州に住んでいる家族が心配になったとき、九電に依頼して訪問・電話してもらう。中国電力も独自のポイントサービスを用意した。電力料金の支払いだけでなく、地元プロ野球チーム「広島東洋カープ」の成績に合わせてポイントがたまる。
 迎え撃つ東京電力は、新料金メニューの投入や異業種企業との提携を急ぐ。電気使用量の多い顧客にメリットが出やすいプランを用意し、既存の優良顧客の囲いこみを狙う。LPガスや通信サービスとのセット割引やポイントサービスも充実させる。一方、ソフトバンクと連携し、関西・中部エリアでも電力販売を進めている。
生活関連 お得感
スーパー・電車
ポイント連携
 買い物や鉄道、放送・通信など、消費者が日常で利用する生活サービスと電力をセットにして“お得感”を打ちだす企業も増えている。
 新電力ベンチャーのアイ・グリッド・ソリューションズ(東京・千代田)はスーパーと連携した電力小売りを始める。契約者はスーパーのポイントを獲得できるほか、特別セール品を買える。
 地方の地場スーパーや中部電力管内にあるユニーグループ・ホールディングスの「アピタ」「ピアゴ」が対象。アイ・グリッドの担当者は「電気代に敏感な主婦に最もアプローチしやすい場所を考えた」と、スーパーと組む狙いを語る。
 ジュピターテレコムはケーブルテレビ契約者を対象に電気を大手電力よりも最大10%安く提供する。東京急行電鉄の新電力子会社、東急パワーサプライ(東京・世田谷)は鉄道定期券や東急カードなど、東急グループとポイントを連携することで沿線住民からの契約獲得に注力する。
 
 
 日経産業新聞,2016/04/01,ページ:11

 

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