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新電力、厳しい体力勝負、日本ロジテック、破産手続きへ、参入容易、もうけは少なく(ビジネスTODAY)

2016.03.22

 電力小売りの全面自由化を控え、新電力に淘汰の波が忍び寄っている。日本ロジテック協同組合(東京・中央)が近く破産手続きに入る見通しとなり、15日には高知市が売電代金の支払いを求める訴訟を起こした。電力の小売りは利幅が薄い一方、参入は事業者の届け出だけで可能だった。全面自由化で値下げ競争が体力勝負となれば、財務基盤の弱い事業者の生き残りは厳しくなる。
 日本ロジテックは2010年に特定規模電気事業者(PPS)として、00年に解禁された大口需要家向けの小売りに参入した。1口10万円の出資金で募った組合員の需要を取りまとめ、発電所を持つ自治体などから一括購入する「電力共同購買事業」を手掛けてきた。
 大手電力より1~5%程度安く組合員に電気を提供する一方、自治体などの調達入札にも参加。顧客リストには防衛省や静岡県、東京都町田市や川崎市などが並ぶ。13年3月期に82億円だった売上高は15年3月期、556億円まで拡大した。
 事業拡大するなか、資金繰り悪化の直接の原因となったのは14年秋に打ち出した佐賀県伊万里市などでの発電事業参入計画だった。総額144億円という事業費が重荷となり、15年5月には再生可能エネルギーの賦課金の支払いを滞納。8月、12月には需要家の電気の使用量が事前の計画量を上回り、送配電網を運用する電力会社からペナルティーも科された。
 高知市は15年4月から清掃工場で発電した余剰電力を日本ロジテックに販売。売電代金の支払いは「当初から滞る状態だった」(市環境部)。高知市の1億8100万円を含めて、判明しているだけでも日本ロジテックの自治体向け未払いは総額は約39億円。回収のめどは立っていない。
 全面自由化で電気料金の引き下げ圧力が強まる4月以降について、日本ロジテックは電力小売りに必要な事業者登録を断念している。撤退期限となる3月末までに経営破綻する可能性もある。11日には代理人弁護士を通じ、約1800の債権者や関係者に債務整理の手続きの一環となる受任通知を発送した。
 3月中に日本ロジテックが破綻した場合、電気の供給は大手電力が肩代わりする。停電などのリスクは回避できる見通しのため、需要家の反応は冷静だ。ただ、横浜市内の小売店の担当者は「別の新電力に切り替えようにも時間がなかった」と憤る。時間が足りず、もとの東京電力との契約に戻したという。
 今回の問題を受け、林幹雄経済産業相は15日、「電力自由化の下では経営破綻の可能性は排除されない」と述べた。電力取引監視等委員会などの審査を経て、すでに200社以上の新電力が4月以降の電力小売り事業者登録を済ませている。そこに第2、第3の「ロジテック」が紛れていないとはいえない。
 新電力が経営破綻した場合、大手電力が代替供給した電気の契約をどう扱うかはまだ明確になっていない。日本ロジテックの問題は全面自由化を前に解決されるべき課題があることを浮き彫りにした。(庄司容子)
 
 
 日本経済新聞 朝刊,2016/03/16,ページ:13

 

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