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エネ・エコ変革の1年に――電力自由化、省エネ事業者評価、ESG投資(日経BP専門誌から)

2016.03.14

日経エコロジー
 電力、再生可能エネルギー(再生エネ)、省エネルギーなど2016年はエネルギー分野で大きな変革が起こる。各種リサイクル法や廃棄物処理法の改正議論も本格化しそうだ。
 16年は日本のエネルギー市場が大きく変わる年になる。4月1日、家庭や中小企業の事業所を対象とした契約電力50キロワット未満の低圧需要家への電力販売が解禁され、電力小売りは完全自由化される。低圧需要家による電力消費量は全体の約40%を占めており、7兆5000億円市場が開放される。電力16兆円市場の争奪戦の号砲となる。
 経済産業省は1月に「電力の小売営業に関する指針」を公表。これを受けて、電力小売事業者が営業活動を開始した。
 主戦場は需要家人口が多い首都圏だ。東京電力は4月1日の完全自由化に合わせて持ち株会社制を導入し、発電、送配電、小売りの各事業を分社化して経営の機動性と効率性を高める。
 同社が打ち出す新メニューは「Tポイント」「Ponta」などと連携したポイントサービスと、電力と通信やガスを組み合わせたセット販売だ。通信はソフトバンクモバイル、ガスは関東が地盤の日本瓦斯や静岡が本拠点のTOKAIホールディングスと連携する。
 新規参入を狙う事業者も準備を進めている。早くから電力市場への参入を表明していた東京ガスは、地域のガス会社と提携して販路を広げている。新メニューでは、ガスと電気のセット販売に加え、水周りトラブル、鍵の紛失、ガラス修理といった生活関連サービスの提供も計画する。広瀬道明社長は「20年までにシェア1割を獲得する」と意気込む。
FIT審査厳格
 完全自由化をきっかけに、電力会社を選ぶという行為が、企業にも広がるだろう。企業の電力調達体制を整え、拠点の電力調達先を切り替えることで、コスト削減と二酸化炭素(CO2)排出削減を実現する取り組みが進む。
 導入から4年目を迎えた再生エネの固定価格買い取り制度(FIT)は改革に向けた議論が大詰めを迎えている。
 資源エネルギー庁は2月に新制度の内容を閣議決定。通常国会に改正法案を提出し、17年度からの施行を予定する。
 現行制度の大きな課題の1つが未稼働案件への対応である。FITの発足以来、82ギガ(ギガは10億)ワット超がFIT認定を取得したものの、運転開始に至っているのは22ギガワットという状況だ。
 新制度では、電力会社との系統接続契約など事業の実現性を確認した上でFIT認定をするように改める。買い取り価格の決定時期も、事業実施の実現性が確認された時点とする方針だ。
 国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)の「パリ協定」を受け、日本の30年度までの温暖化ガス削減目標の達成に向けた取り組みが本格化する。経産省と環境省は5月のG7伊勢志摩サミットまでに、目標達成を担保するための「地球温暖化対策計画」をまとめたい考えだ。
 削減目標達成のためには「異次元省エネ」が必要とされる。16年の省エネ政策の目玉は2つだ。
 1つは省エネ法の「事業者クラス分け評価制度」だ。省エネの取り組み度合いによって事業者を「SABC」の4つのクラスに分ける。
 5月に優良事業者であるSクラスの企業を公表する。Sクラスは5年間の平均でエネルギー消費原単位を年1%以上改善、または業種ごとの「ベンチマーク目標」をクリアした企業。定期報告書を提出する約1万2000社の約半数になる見込みだ。過去の実績を基にSクラスの連続在位年数を星の数で5段階で表示する。
木材輸入に新法
 もう1つは4月の建築物省エネ法の施行だ。建物の販売や賃貸に携わるすべての事業者に建物の省エネ性能の表示が努力義務として課される。表示には自己評価と第三者認証の2つの方法がある。第三者認証には14年4月に運用が始まった「建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)」がある。
 省エネ性能に特化した日本初の認証制度で、これまで非住宅建築物が対象だったが4月から住宅版の運用も始まる。
 生物多様性の分野では、16年に違法な外国産木材の輸入を阻止する新法の成立が見込まれる。欧米の規制に比べて日本の木材規制は甘い。G7伊勢志摩サミットに間に合わせて世界に新法を打ち出せるよう、議員立法での成立を目指す。
 環境・社会・ガバナンス(ESG)情報開示の要請を受け、統合報告書も増えるだろう。企業価値レポーティング・ラボによれば、15年に統合報告を意識した構成の報告書は国内で194社に上り、13年の95社、14年の139社から急増した。
 国内最大の機関投資家GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のPRI(責任投資原則)署名などを受け、「ESG投資」も伸びる。日本総合研究所の足達英一郎氏は、「ESGに配慮している運用機関が次々出現している。16年には日本でESGに配慮をしている投資が数十兆円規模になる」と予想する。(日経エコロジー2016年2月号、日経エコロジー取材班)
 
 
 日経産業新聞,2016/03/08,ページ:2

 

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