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4月小売り自由化、電力8兆円市場、はや顧客争奪戦、東ガス、受け付け開始、東燃ゼネ、割安料金で。

2016.01.12

 4月の電力小売り全面自由化へ向けて4日、新規電力事業者(新電力)が顧客の獲得へ動き出した。東京ガスと大阪ガスは一般家庭からの契約受け付けを開始。東燃ゼネラル石油は電気料金プランを発表した。自社商品とのセット割引や独自の販売網を生かし、電力大手のシェアを奪う考え。自由化で新たに生まれる年8兆円の市場を巡る争いが激化してきた。
問い合わせ殺到
 日本の電力市場は年20兆円規模で、6割を占める工場向けなどはすでに自由化されている。残る家庭向けと小規模事業者向けなどが4月に自由化され、市場を独占していた電力大手以外も販売できるようになる。
 4日午前9時。東京都新宿区にある東ガスのコールセンターに問い合わせの電話が殺到した。聞き手の関心はガスではなく、この日契約の受け付けを始めた電気だ。2時間半で問い合わせは約300件にのぼった。今後、同社ガス器具販売店に電気営業担当者を合計約300人配置する。2020年に首都圏需要の1割を獲得するのが目標だ。
 電気は自社のガス火力発電所から供給する。ガスとのセット契約で、戸建て3人家族の場合、東京電力より年4千~5千円程度(4~5%)安い。電気の使用量が多いほど割引率が上がる。セット販売するのはガスだけではない。インターネットでNTTコミュニケーションズやソネット、ポイントサービスで楽天など合計12社と提携し、プランを充実させていく。ネット契約などもセットにすれば、割引額は合計で年2万円を超える。
 大阪ガスは関西地域でガスとのセット割引を始める。2年間の契約を結べば割引幅を広げる。
 東燃ゼネは4日、東電より3~6%安い料金プランを発表、契約の受け付けを始めた。東ガスと同様、使用量が多い世帯ほど割引率を上げる。
 郊外や地方で一般家庭の顧客を数多く抱えているLPガス約30社と提携し、給油所以外の販路を開拓する。電気とLPガスをセットにして割引率を拡大する可能性もあるという。4月から中部電力と関西電力管内でも電気事業に参入する。
 電気は川崎市の自社発電所や外部から調達して販売する。千葉県と静岡県で大型火力発電所の建設を計画しており、2~3年以内に数十万件の顧客獲得を目指す。 東電対抗値下げ
 ケーブルテレビ利用者の需要を狙うのが、東京急行電鉄系の新電力、東急パワーサプライ(東京・世田谷)。戸建て4人家族の場合、東急グループのケーブルテレビやカード決済とセットで利用すれば、電気代を含む総額を年1万円近く割り引く。東急の主要駅に案内ブースを設けて、沿線住民に売り込む。
 一方、攻め込まれる側の電力大手も対抗策を打ち出す。東電の広瀬直己社長は4日の年頭訓示で「我々も負けてはいられない。早々にプランを発表し活発な営業活動をしていかなければならない」と述べた。1月中旬にも電気の使用量が多い顧客向けに、今より5%前後安いプランを発表する方針。関電も値下げプランを公表する考えだ。
 ただ、日本の家庭用電気料金は米国や韓国の2倍程度で、数%の値下げではまだ十分とはいいがたい。新規参入が円滑に進まなければ、電気料金が13年に04年の2倍へ高騰した英国のように、料金は上昇するリスクもはらむ。一段の値下げを実現するには、競争環境を整備する政府の役割も重要になりそうだ。
 
 
  日本経済新聞 朝刊,2016/01/05,ページ:2

 

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