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第2部eリテール特集――顧客、POSで迫る、楽天ポイント、店頭で付与、ネットと店舗、販促融合。

2015.03.11

 楽天は昨年10月、ネットでためたポイントを実店舗でも使えるサービスを開始した。楽天は個人情報を特定できないように加工したうえで会員の購買データなどを分析して加盟企業に提供する。個人の好みに合わせたクーポンの発行などが可能なり、加盟各社は新たな販促に取り組める。
 共通ポイントは「Rポイント」とし、ネット通販などでためた「楽天スーパーポイント」を全国約1万数千店で使えるようにした。J・フロントリテイリングなど11社と提携。会員は大丸や松坂屋、サークルKなどでポイントをためたり使ったりできる。楽天の三木谷浩史社長は記者会見し、「ネットのポイントと実際の店舗を融合させた日本初のマーケティング・サービスが出発する」と話した。
 これを支えるのが、流通システム開発のエスキュービズム・テクノロジー(東京・港、武下真典社長)が開発したタブレット(多機能携帯端末)を利用した新型POS(販売時点情報管理)システムだ。楽天スーパーポイントを店頭で付与したり利用したりできるようにしたのが特徴だ。
 昨年秋からDPE(写真の現像・焼き付け・引き伸ばし)大手のプラザクリエイトが導入している。
 エスキュービズムが開発した新型POSシステムは基本ソフト(OS)にマイクロソフトの「ウィンドウズ8」を搭載したタブレットを活用。スキャナーや印字機を含めた一式で50万円からと、専用のハードウエアを利用したPOSの半額程度に抑えられる。
 省スペースで持ち運びが簡単で、来店客にセール情報などを知らせるディスプレーもあり機能性が高い。
 エスキュービズムの新型機は、楽天ポイントを実店舗でも使える「Rポイントカード」サービスに対応する。Rポイントカードを持参した客の購入額に応じて楽天スーパーポイントを付与できるほか、支払時に楽天スーパーポイントを利用することも可能だ。
 カードの情報から来店客の購入履歴などを参照し、ニーズに合ったお勧め商品やキャンペーンの情報などもディスプレーに表示できる。ネットと店舗を組み合わせた販促活動がしやすくなる。
 新型POSシステムはプラザクリエイトが全国の「パレットプラザ」と「55ステーション」の約580店舗に導入。POSシステムは単なる業務効率化のツールから、小売業の競争力を高める武器へと進化している。
 共通ポイントでもネットとリアルの境界は消え始めた。ポイントをためたい顧客の囲い込みは競争が一段と激しくなっていきそうだ。
 
 
  日経MJ(流通新聞) 第2部,2015/03/02,2面