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共通ポイント活用のコツ――買い物なしでたまる、公共料金を支払い(得々家計)

2014.04.11

 消費税率の引き上げに伴い日々の暮らしで負担増を感じる人もいるのでは。そんなときに目を向けたいのが共通ポイントサービス。異なる業種の色々な店で、ポイントをためて使える会費無料のカードだ。その活用法は単純に見えて意外に奥が深い。うまく使えば、増税後の家計運営の強い味方にもなりそうだ。
 東京都に住む会社員Aさん(48)は、近所にあるドトールコーヒーショップとスーパーのマルエツを週数回ずつ利用するたびに「Tポイント」カードを提示しポイントをためている。
 共通ポイントは一般に店頭でカードを見せると100~200円程度の買い物ごとに1ポイントたまり、これを1ポイント=1円として使える。Tポイントと「Ponta」が二大陣営(表)だ。
 野村総合研究所によれば、両カードの合計発行額は「2013年度で約500億円」(冨田勝己上級コンサルタント)。ためたり使えたりする店も計9万を超えた。
 原則、誰でも無料でカードをつくることができ、利用経験のある人も多いだろう。ただ、専門家に聞くとため方、使い方の両面で、お得な活用法を見落としている場合は少なくない。
 まずはため方。ポイント交換サイトを運営するポイ探(東京都中央区)菊地崇仁代表は「効率的にためるなら『ポイントモール』は常に見るといい」と話す。ポイントモールはTポイントやPontaの運営会社が、それぞれ設けているインターネットの仮想商店街だが、「必ずしもネットショッピングはしなくてもいい」(菊地さん)。
 買い物をしなくてもポイントがたまるケースが最近増えている。ネットを通じて無料の保険相談や引っ越し見積もりなどを利用する場合、モール経由で申し込むとポイントをもらえることがあるのでチェックしたい。
 Tポイントの場合、琉球銀行で給与振込先に口座を新規指定したり、マルエツでマイバッグ持参でレジ袋を断ったりするだけでもたまる。Pontaはゲーム感覚で使うと、ポイントがたまる専用のスマートフォンアプリを導入済みだ。
 一方、使い方の面での工夫として、ファイナンシャルプランナーの花輪陽子さんはコンビニのローソンがPonta用に配布する「お試し引換券」を薦める。たまったポイントで飲料や菓子など特定商品をもらえる券だ。
 知っておきたいのは交換率。商品ごとに差はあるが、30ポイントで約150円の飲料と交換できる例があるなど1ポイント=1円で買い物するよりも総じて有利になる。「人気商品は先着順でなくなるなど制約もあるが、上手に使うとポイント活用効率はグンと高まる」(花輪さん)
 Tポイントの使い方でユニークなのは、一部の地方自治体で自動車税や水道料金などに充てられることだ。ポータル(玄関)サイト運営のヤフーを通じたサービスで、利用するには、Tポイントだけでなくヤフーのサービス利用のための会員登録も必要になる。
 今後、共通ポイント活用のコツを左右しそうな新しい動きもある。野村総研の冨田さんは「最近よく利用する人ほどポイントが優遇される制度の導入が目立つ」と話す。例えば、DVDレンタルなどのTSUTAYAは、月間利用が一定日数を超えると、翌月の利用でたまるTポイントが通常比2~3倍になる仕組みを設けた。利用時機を調整すればポイントにかなり差がつく。「今後、こうした仕組みは増える見通し」(冨田さん)で、よく使う店で変更がないかは定期的にチェックした方がよさそうだ。
 知るほどに活用法が広がる共通ポイントだが、こだわり過ぎるとかえって損をすることもある。典型例はポイント加算のために不要な商品を買い足すこと。ポイ探の菊地さんは「たった数十円の出費増でも原則1円換算の共通ポイントのために使うなら収支は大損だ。必要な出費に対してだけ活用してこそ家計の助けになる」と注意を促す。
 
 
  日経プラスワン,2014/04/05,5面