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第2部eリテール特集――SNSファン育む、ビール各社、若者の声吸い上げ、味やラベルに反映。

2014.03.04

 小売りや消費財メーカーにとって顧客とのコミュニケーションを強化し、リアルな声を吸い上げることは共通した課題だ。各社の活用が広がっているのがSNS(交流サイト)。自社ブランドの価値を発信するだけでなく、新商品の開発に生かす企業も増えてきた。スマートフォン(スマホ)の普及が進むなか、双方向型の販促ツールとして存在感は増し続ける。
 若者のアルコール離れや嗜好の多様化に悩むビール各社。SNSで20代などの声を吸い上げ、オリジナルの新商品を開発する動きが出てきた。
 サッポロビールは「フェイスブック」などを使った消費者の投票を実施、開発を進めていたが商品化していない「ピルスナー」や「エール」「ヴァイツェン」など8種類からまず3つに絞った。
 この中から昨年8月末までに1つを選抜した。9~11月にネット上の議論などを踏まえ、香りや苦みといった商品内容、商品名やラベルを決定。12月以降に自社のサイト限定で販売した。
 同社はSNSによる投票で開発した第1弾の商品として昨年3月、ネットを通じて「百人のキセキ」を数量限定で売り出した。受注開始から約10日で完売するなど好評だったため、第2弾の商品開発に踏み切った。
 ビール市場は縮小傾向が続くものの、若者らの間では原料や製法にこだわった高額な限定品のニーズが高まっている。サッポロはマスメディア広告でなく双方向型のSNSを活用し、こうしたファンの裾野を広げる。
 同社は複数のSNSの情報を一括管理できる日本オラクルのソフト「ソーシャル・リレーションシップ・マネジメント(SRM)」を導入している。コストを抑えながらキャンペーンを仕掛けるとともに、幅広い顧客の世代や地域を分析し商品作りに生かす考えだ。
 昨年8月、理想のビールを若者らのファンと議論するサイトを立ち上げたのがキリンビール。「キリンビール カンパイ会議」ではアルコール好きな20~30代に発言してもらい、ビールの面白さを感じてもらう。
 「クリスマスパーティーに飲みたいお酒を教えてください!」「一番好きなキリンのキャンペーンを教えてください!」。サイト上にはこうした「お題」が並ぶ。テーマごとにサイト登録者が自分の意見を次々と書き込む。登録者の投稿や発言を促すため「コラボ」と名付けたポイント制度を導入。一定数に達したら「ラガー」などの商品ロゴが入ったスタンプを特典として贈呈する。
 投稿された情報をもとにまず20~34歳の神奈川県出身・在住者を対象に「はまっ子のためのビールづくり企画」を始めた。参加した約200人は好みの香りや色、味について意見を交換した。その中から30人を選び、昨年10月と11月、実際に対面するイベントを開き、横浜工場で製造したビールなどを試飲した。
 昨年12月中旬には集まったアイデアをもとに改良したビールを醸造した。3月中旬にはカンパイ会議で発案されたアイデアにもとづく第1号ビールが完成し、同工場の敷地内にあるレストランで提供される予定だ。
 キリンホールディングス傘下で酒類・飲料事業を統括するキリンは1月、ネットを活用したマーケティングを担う新組織「デジタルマーケティング室」を設けた。若者の集客を急ぐビール各社にとってSNSの存在感は高まり続ける。
 
 
  日経MJ(流通新聞) 第2部,2014/03/03,10面

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