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第2部eリテール特集――送客に技あり、「ライト」客、「ヘビー」ファンに、ファミマ、お得満載サイト。

2014.03.04

 顧客をインターネットから店舗に誘導するO2O(オンライン・ツー・オフライン)の取り組みが小売りやサービスで急速に広がり始めた。コンビニエンスストアのファミリーマートは来店するとお得になるサービスを提供する会員制サイトを開始。ヤフーは映画やイベント向けに、スマートフォンを使った電子チケットを広げようとしている。消費者にとって実際の店舗に出向くきっかけとなるような仕組みづくりに、各社が知恵を絞る。
 ファミリーマートは昨年9月下旬、新しい会員制サイトを開設した。店頭商品の割引クーポンやメールマガジンの配信、店頭キャンペーンに簡単に応募できる仕掛けなど店をよりお得に利用できるコンテンツを集めたのが特徴だ。定期的に来店する「ライト」な顧客をより来店頻度の高い「ヘビー」なファンに育てる狙いだ。
 サイト名は「famima park(ファミマパーク)」。提供する主なサービスは、(1)メーカーのナショナルブランド(NB)やプライベートブランド(PB=自主企画)の期間限定の割引クーポンを配信する(2)メールマガジンを随時配信し、同サイトで配布するクーポンや店頭キャンペーンなどの情報を流す(3)同サイトにあらかじめ会員登録しておけば、店頭で実施するキャンペーンに簡単に応募できる(4)同サイトにログインするたびにたまるポイント「ファミコイン」で、商品の引き換えクーポンや会員限定のプレゼント応募などの景品に交換できる――の4つだ。
 割引クーポンは週1回のペースで対象商品を更新する。店頭キャンペーンではポイントももらえる。登録は無料。今まで個別に取り組んでいる各種の販売促進策をひとまとめにすることで、顧客が多くのお得な情報に触れる機会を増やす。スマートフォン(スマホ)にも対応しており、ネットから店舗へ顧客を誘導するO2O戦略とあわせ、ファミマファンを囲い込む狙いだ。
 小売業が手掛けるO2Oでは無料通話・チャットアプリのLINEなどソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の活用が増えている。この分野はローソンなどコンビニエンスストア業界が先行しているが、消費者と接点がある様々な業種にも広がっている。そうした状況で消費者に、特にファミマに強い関心を持ってもらうことは、ハードルが高くなっている。
 ファミマは現在、ツイッターやLINE、フェイスブックなど延べ約500万人のSNS利用者をもつ。「すでにSNSに登録していて、少なからずファミマに興味を持っているお客のロイヤルティーをもう少し上げていくのがサイトの役目」と、総合企画部のコミュニケーション戦略グループの飯干陽子さんは説明する。SNSはやらないが、スマホやタブレット端末は使う主婦も取り込む考えだ。
 
 

  日経MJ(流通新聞) 第2部,2014/03/03,2面