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激震ポイント経済圏(上)楽天とリアル1万店共通―「Rポイント」開始、アプリ、カード代わり、購買履歴や趣向分析生かす。

2014.10.16

 10月1日、楽天が共通ポイント「Rポイントカード」のサービスを始めた。これまで共通ポイント市場ではカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)傘下の「Tポイント」と、三菱商事系の「ポンタ」の2強が先行していた。ここに9400万人のネット経済圏を擁する楽天が落下傘のように参入する。十年一日だった業界の構図が大きく変わりそうだ。
 「日本初のインターネットポイントを絡めたマーケティングサービスが今、出発しようとしている」。1日、都内で開かれた発表会で、楽天の三木谷浩史社長は新サービス「Rポイント」への意気込みを語った。同日午前0時に始まった同サービスは「想定をはるかに上回る取引量になっている。楽天市場を立ち上げたときと同じくらいの興奮を覚えている」(三木谷社長)。
 11社と提携
 今回、楽天と提携したのはJ・フロントリテイリングやサークルKサンクスなど11社。店舗数は全国約1万3300店舗にのぼる。発表会には加盟企業の社長らも参加。大丸松坂屋百貨店の好本達也社長は「切磋琢磨(せっさたくま)しながらよりよいサービスを提供していきたい」と抱負を語った。楽天は今後数年以内に5万店との提携を目指している。
 楽天がインターネット上でポイント事業に参入したのは1997年。同社が運営するネット通販「楽天市場」のサービス開始と同時にポイントサービスを始めた。現在では楽天市場だけでなく、宿泊予約の「楽天トラベル」や「楽天ブックス」など同社の他サービスを利用してもポイントをためることができる。
 ポイントが、単純な値引きとは違う、消費者誘因効果を持つツールとして注目を浴び始めたのは15年ほど前からだ。そもそもは自社の製品やサービスの利用客に対して料金の一部をポイントとして返し、再び自社系列のサービスに利用してもらう囲い込みに効力を発した。
 その後、レンタルDVDチェーンやコンビニエンスストア、飲食チェーンなど異なる業種間でポイントを共通化し、自らの「経済圏」を広げる動きが広がった。レンタルDVD「TSUTAYA」からスタートした「Tポイント」(Tポイント・ジャパン、東京・渋谷)と、三菱商事系の「ポンタ」(ロイヤリティマーケティング、同)が市場を二分している。
 楽天は、過去には共通ポイントと提携していたこともある。2004年から10年までの7年間はCCCと提携し、先行する共通ポイント「Tポイント」と楽天スーパーポイントの相互交換を行っていたが、10年に提携を解消。全日本空輸(ANA)のマイレージや自社の電子マネー「Edy(エディ)」にも対応してきた。基本的には自社サービス間に閉じたポイント展開にとどまっていた。
 1日から始めた共通ポイントサービスでは、楽天のインターネットサービスでためたポイントを実店舗で直接使うことができる。約9400万人の会員を基盤にしている点や、ネット分野で圧倒的なシェアを持っている点が先行するサービスに比べて強みとなる。
 若者送客を期待
 サークルKサンクスではRポイントの導入で「若年層の送客効果に期待する」(同社)という。楽天ポイントはネットと親和性が高い若年層の利用者が多いためだ。若年層の呼び込みに力を入れたいJ・フロントリテイリングも同様の理由でRポイントの導入を決めている。
 実は、共通ポイント参入で楽天が狙うのは、相互送客効果だけではない。そのヒントが今回発表されたあるサービスに隠されている。
  「プラスチックのカードには最初は抵抗があった」(三木谷社長)。1日のサービス開始とともに発表したのがスマートフォン(スマホ)向けアプリだ。実際のカードの代わりにアプリを提供するのはポイント業界でも初めて。カードの代わりとして使うことができるだけでなく、提携店舗のクーポンやイベント情報などをアプリで通知することもできる。
 アプリにしたことで、自社サービスや加盟企業の購買・利用履歴などを分析するだけでなく、消費者の生活ログや趣味趣向にまでリーチすることが可能になる。これを加盟企業にマーケティングサービスとして提供すれば、加盟店への送客効果を高めるだけでなく、楽天が追い切れていないリアルの顧客情報を共有することができる。
 三木谷社長が「より差別化されたポイントサービスになる」と自信を見せるのは、財布が軽くなるからだけではない。
 野村総合研究所によると、12年度のポイント・マイレージの年間発行額は少なくとも8684億円。消費増税などの影響で節約志向の消費者が増えているため、今後はますますポイントの活用が進むと考えられており、18年度には9930億円まで拡大するとみられている。
 ただポイントすでに「あって当たり前」のサービスになりつつある。同研究所の調査では、ほとんどの人がポイントを受け取っている一方で、ポイントによって購買行動を変えている人は5割強にとどまっている。楽天の参入はマンネリ感の漂うポイントサービス活性化の呼び水になるか。
 
 
  日経産業新聞,2014/10/16,3面

 

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