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シニア向け優遇カード――スーパー、割引月5回も、宿泊施設でポイント(得々家計)

2014.08.18

 60歳以上などシニア世代を対象に限定した、特典付きのカードや割引デーの導入が増えてきた。大手スーパーやドラッグストア、ホテルなど業態も広がっている。日用品の購入だけでなく、子どもや孫とのショッピングや休日に家族が集まった際の利用といった、世代間の交流やだんらんにも使われているようだ。
 埼玉県に住むAさん(68)は、お盆休みの息子夫婦と孫の帰省を楽しみにしている。来年、小学校に入学する孫のランドセルを買いに、近くのショッピングセンターに行く約束だからだ。シニア専用のカードで指定の日に買えば5%引きになる。「割引の日は日用品のまとめ買いが中心だが、息子や孫が遊びに来たときと重なるとついあれこれ買ってしまう」と苦笑する。
 シニア向けカードは大手スーパーなどが発行している。特定の日に買い物が割引になったり、ポイントが加算されたりといったサービスは珍しくないが、シニア向けは優待日をさらに増やしている。年金の支給日(偶数月)である15日を加えるケースが多いようだ。運転免許証など年齢を確認できるものを持って店頭などで申し込む。年会費は無料だが、カードの発行手数料がかかる場合もある。
 イオンの「G・G WAON(ジー・ジー・ワオン)」は55歳から加入できる。あらかじめ入金して使うプリペイド型のカードだ。毎月15日をシニア向け「G・G感謝デー」としており、買い物代金を同カードで支払うと5%引きとなる。もともと毎月20、30日は一般向け感謝デーとしてカード支払いは買い物が5%引きになるので、G・Gワオンを持っていれば、割引日が月3回となるわけだ。同じ特典を受けられるクレジットカードもある。
 イトーヨーカドーの「シニアナナコ」は60歳以上を対象に、毎月15、25日に買い物を5%引きとしている。これとは別に月3回(8、18、28日)カード支払いが5%オフになるので、割引日は合わせて月5回となる。65歳以上はカード発行の手数料が無料。60~64歳もシニアナナコデーなら無料(通常は300円)になる。
 ダイエーの「ハート ポイントカード プラス」は、60歳以上を対象とする ポイントカード 。特定日にポイントが多く加算される。通常は、買い物200円(税抜き)ごとに1ポイントだが、毎月5、15、25日に同カードを持って買い物をすれば、5倍のポイントが付く。
 専用のカードは作っていないが、毎月決まった日をシニア向けの特売日に指定し、 ポイントカード の提示で割引をする会社もある。「ツルハドラッグ」「くすりの福太郎」などを展開するツルハホールディングスは60歳以上なら毎月15、16、17日に買い物が5%引きとなる。
 日本トイザらスも毎月15日がシニア向けの日。60歳以上の ポイントカード 会員を対象に、1回の買い物が5000円(税込み)を超えた場合に10%オフになる。同社によれば「シニア層が、妊婦や赤ちゃんのいる家族と一緒に来店して、ベビーカーなどの育児用品や節句商品を買うケースが多い」という。
 孫と一緒に買い物に出かけたり、まとめ買いをしたりするシニア層も少なくない。消費生活アドバイザーの和田由貴さんが注意点として指摘するのは、割引だからと必要のないものまで買ってしまうことだ。「特に値の張るものは、他の店やネットスーパーなどと比較検討したい」と話す。
 レジャー関連でも、シニア向けの割引やプランは少なくないが、専用のカードも増えている。国内に37カ所ある休暇村でも「Qカード」という名称のカードを発行している。特徴は50歳から加入できる点。利用100円(税抜き)につき5ポイントたまり、1ポイント1円で使える。カード提示で特典を受けられる施設も全国にある。
 主に西日本でホテルチェーンを展開するワシントンホテルプラザは「ワシントンシニアカード」を発行。60歳以上を対象に直営レストランでの飲食が5%オフとなる。家族や夫婦での食事、誕生日会などの慶事や法要での利用もあるという。
 
 
  日経プラスワン,2014/08/02,5面