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専門店調査から(上)消費増税対策――「会員サービス拡充」最多。

2014.08.18

 4月の消費増税後、専門店各社も個人消費の落ち込みへの懸念が広がった。消費増税対策について複数回答で聞いたところ、「会員向けサービスの拡充」が22・9%で最も多かった。3位の「ポイントサービスの拡充」(18・7%)とともに、まずは既存顧客の囲い込みに注力する戦略がみえてきた。
 2位は「ネット通販など新たな販路を開拓、強化」で20・4%だった。アマゾンジャパンなどネット専業が専門店の強みである領域を攻め込もうとしているなか、実店舗を持つ専門店がスマートフォン(スマホ)などを有効的に使った新サービスに取り組む例が増えそうだ。
 競合他社にない競争力のある商品の開発に意欲的な企業も目立つ。4位に「価格競争力のあるプライベートブランド(PB=自主企画)商品を増やす」(18・0%)が入り、「独自商品を増やす」(14・8%)も7位だった。価格戦略でも変化が見られ、PB商品の質を高め価格も上げることを検討する専門店が増えている。
 成長の源泉である出店戦略も進める。2013年度に比べ「新規出店を増やす」「既存店の改装を増やす」との回答がそれぞれ17・3%で5位だった。ドラッグストアや100円ショップなどの大手は、今年度も大型ショッピングセンターなどへの新規出店を増やす方針を打ち出している。
 ただ今回の調査で人手不足感が高まっている現状が鮮明になった。14年度に必要な人員を確保できるかどうかを聞いたところ、「充足できない」の回答の合計は28・6%。13年度に「充足できなかった」の回答は合計24・3%だった。さらに資材費の高騰なども重荷で、今年度は例年以上にきめ細かな出店戦略が求められそうだ。
 「不採算店の閉鎖を始める」(10・6%)、「不採算店の閉鎖を13年度よりも増やす」(4・6%)といった回答も目立った。消費増税後の需要動向は業種間でバラツキがみられるなか、出店する業態や地域について選択と集中を進める企業が増えそうだ。一方、パート・アルバイトの採用が難しくなり、閉鎖店の従業員を他店に振り向ける企業も出ている。
 専門店の13年度売上高は、増税前の駆け込み需要を追い風に大部分の業種で増収だった。増税後、景気の不透明さが増すなかで出店やネット戦略の優劣で企業間格差が広がるのは間違いない。
 
 
  日経MJ(流通新聞),2014/07/11,5面