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イオンカード会員向け、3ヵ月限定、見放題パスで映画館に誘う、「イオンシネマ」、グループ力を活用。

2013.12.12

 シネマコンプレックス(複合映画館)大手のイオンエンターテイメントが映画ファンの開拓を進めている。このほどイオンカード会員向けに、3カ月間映画が見放題になるパスを発売、1万枚の発行を見込む。消費増税に伴い、映画などレジャーは支出削減の対象となりがち。話題作が多い冬の書き入れ時を挟み、割安感のあるパスを発行することで、新たな映画ファンを増やす。
 2014年1月1日まで販売する。価格は1万円で、購入はイオンカードでの決済のみ受け付ける。発行日から3カ月間、同社の映画館「イオンシネマ」で全映画が無料で見られる。パスが使える期間は3月31日まで。コンサートの中継などODS(映画以外のデジタルコンテンツ)は対象外だ。
 同社の大島学社長は「滑り出しは上々。このままのペースでいけば1万枚は見込めそう」と話す。映画の窓口料金は大人が1800円のため、6回映画を見たら元がとれる計算だ。
 この冬は百田尚樹氏原作の「永遠の0(ゼロ)」や、ジョージ・クルーニー主演の「ゼロ・グラビティ」など、話題作も多い。熱心な映画ファン以外でも、充実したラインアップに興味を持ち、映画館に足を運んでもらおうという狙いだ。
 シネコン各社の割引などのキャンペーンは、映画館内での告知がほとんど。そのため、利用者もほとんどが熱心な映画ファンで、それ以外の層へのアピールが難しい。イオンエンターテイメントはイオンのグループ力を活用し、イオンカードの会員向けに、カード明細書に、映画パスのチラシを同封し、従来の映画ファン以外の層の取り込みを目指す。
 イオンカードの会員は13年9月末で2287万人。イオンシネマは600超のスクリーンのうち、イオンの商業施設内にあるものが約9割で、イオンカード会員との親和性は高い。
 イオンエンターテイメントはすでに、イオンカードで支払えば窓口料金を300円割り引くなどのサービスを実施している。  「(小売店の)イオンに来店するお客様が、年間延べ20億人。対してイオンシネマは3千万人」(大島社長)。イオンカードの特典で割安感を出し、年間20億人に上る来店者を、少しでもとりこみたい考えだ。
 背景には映画ファンの減少への危機感がある。娯楽の多様化に加え、スマートフォン(スマホ)の普及も逆風だ。ある映画関係者は「2時間、スマホをいじらないで暗闇に座っていられる若者が減ってきている」と話す。テレビドラマの映画化など話題作は見るが、洋画には関心を示さないという若者も増えている。
 水曜のレディースデーや、60歳以上が1千円になるシニア割引など、シネコンには多くの割引制度があるが、見放題のパスは多くない。まずはパスの存在を広く知らせ、足を運んでもらう。
 課題は、パスでつかまえた新たなファンを、どれだけつなぎ留められるかだ。4月には消費増税も控える。小売りを親会社に持つ日本唯一のシネコンとして、価格施策も含め、イオンエンターテイメントならではの取り組みに注目が集まる。


    日経MJ(流通新聞),2013/12/11,9面

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