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ファミマ会員制サイト、サービス一手に――お得感高めファン育成(戦略O2O)

2013.11.25

 ファミリーマートは9月下旬、新しい会員制サイトを開設した。店頭商品の割引クーポンやメールマガジンの配信、店頭キャンペーンに簡単に応募できる仕掛けなど、店をよりお得に利用できるコンテンツを集めた。定期的に来店する「ライト」な顧客を、より来店頻度の高い「ヘビー」なファンに育てる狙いだ。
 新サイトは「famima park(ファミマパーク)」。提供する主なサービスは(1)メーカーのナショナルブランド(NB)やプライベートブランド(PB=自主企画)の期間限定の割引クーポンを配信する(2)メールマガジンを随時配信し、同サイトで配布するクーポンや店頭キャンペーンなどの情報を流す(3)同サイトにあらかじめ会員登録しておけば、店頭で実施するキャンペーンに簡単に応募できる(4)同サイトにログインするたびにたまるポイント「ファミコイン」で、商品の引き換えクーポンや会員限定のプレゼント応募などの景品に交換できる――の4つだ。
 割引クーポンは週1回のペースで対象商品を更新する。店頭キャンペーンではポイントももらえる。登録は無料。12月31日までに入会すると、抽選で1000人にファミマ専用の1000円分のプリペイドカードが当たる。今まで個別に取り組んでいる各種の販売促進策をひとまとめにすることで、顧客が多くのお得な情報に触れる機会を増やす。スマートフォン(スマホ)にも対応しており、インターネットから店舗へ顧客を誘導するO2O(オンライン・ツー・オフライン)戦略とあわせ、ファミマファンを囲い込む狙いだ。
 小売業が手掛けるO2Oでは無料通話・チャットアプリのLINEなどソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の活用が増えている。この分野はローソンなどコンビニエンスストア業界が先行しているが、消費者と接点がある様々な業種にも広がっている。その中で特にファミマに強い関心を持ってもらうのは、ハードルが高くなっている。
 ファミマは現在、ツイッター、LINE、フェイスブックなど延べ約500万人のSNS利用者をもつ。「すでにSNSに登録していて、少なからずファミマに興味を持っているお客のロイヤルティーをもう少し上げていくのがサイトの役目」と、総合企画部のコミュニケーション戦略グループの飯干陽子さんは説明する。SNSはやらないが、スマホやタブレット端末は使う主婦も取り込む考えだ。
 会員情報を活用しながら、地域を限定したクーポンや、性別・年齢層を絞ったキャンペーンなども展開していくという。精度の高いマーケティングツールとしての改良はまだまだ続く。

    日経MJ(流通新聞),2013/11/22,3面