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ファミマ、日航とマイルで提携、顧客、相互に取り込み、アジアでの集客増も期待。

2013.10.28

大手コンビニエンスストアと航空会社の提携が相次いでいる。買い物額に応じて航空会社のマイルを付与したり、コンビニのポイントとマイルを相互交換できるようにしたりして、それぞれの顧客をお互いに取り込む。コンビニにとっては出店を加速するアジアでの集客につながる可能性もあり、提携サービスなどが一段と充実していきそうだ。
「約2600万人のJALカード会員は40~50歳代のビジネスマンが多い。中高年層にもっと店に来てほしい」。ファミリーマートの中山勇社長は東京都内で開いた会見で期待を込めた。
同社は日本航空とマイルを通じた相互の顧客取り込みなどで提携した。ファミマがクレジットカード「JALカード」などの特約店に加盟。通常、同カードで支払うと多くの会員には100円ごとに1マイルを付与するが、11月1日からファミマの買い物で使えば同2マイル付く。
さらに、ファミマで使えるイオンの電子マネー「WAON(ワオン)」のうち、日航との提携カードを使えば200円ごとに通常の2倍の2マイルを付与する。1万マイルをファミマで1万500円分の買い物ができるプリペイドカードと交換するサービスも始める。ファミマと日航の相互の顧客をマイルを介して抱え込む戦略だ。
中山社長は「これからの協議次第で、時間をかけて考えていく」と断ったうえで、海外での連携にも意欲を示す。ファミマの海外店舗数は8カ国・地域で約1万3千店と、1万店を突破したばかりの国内を大きく上回る。「アジアでのJALブランドは抜群で、相乗効果が見込める」(中山社長)と見る。
一方、日航の植木義晴社長も「あらゆる客層が来店するファミリーマートとの提携で、新たな顧客を増やせる」と強調。国内だけでも1日に1千万人が訪れるだけに、客層拡大のためのパートナーとして期待する。 航空会社と連携するのはファミマだけではない。セブン&アイ・ホールディングスと全日本空輸は4月、マイルと電子マネー「ナナコ」のポイントの相互交換を始めた。全日空のマイレージに対応したクレジットカードを使ってセブンイレブンで買い物をすると200円につき1マイルがたまる。
ローソンも7月から、店頭情報端末「ロッピー」で格安航空会社のジェットスター・ジャパンの航空券の予約・販売を始めている。
すでにマイルとポイントの交換を始めているセブン&アイの場合、マイルからナナコへ交換するケースが逆よりも圧倒的に多いという。セブンイレブンでのANAカード決済件数も提携前に比べて3・5倍にふくらんだ。既存客が決済手段を現金などから変えただけでなく「新たな客も増やせている」。
異業種と組んで相互に客を囲い込むには、まず利用者の認知度を高めることが必要だ。その点でもマイルとポイントというわかりやすい手段を持つ航空会社とコンビニの提携は実効性が高そう。アジア展開をにらみながら新たな提携やサービスの充実などが進んでいきそうだ。

  日経MJ(流通新聞),2013/10/23,5面

担当者のコメント

航空会社(マイル)とコンビニのポイント連携の動きであるが、双方にメリットあるということで紹介されている。
なお、3大コンビニのポイントは共通ポイントと電子マネーで展開されており、事実上、ローソンポイント=ポンタ、ファミマポイント=Tポイント、セブンポイント=ナナコという形で生活者は認識している。
そう考えると本記事のファミマの連携は比較的ニッチなものとして受け取れる(ワオン所持者とJALカード所持者にしか関係ない)。
とは言え、他社ポイント「交換」という形でなく、コンビニの日々の購入にマイルが貯まるというのは画期的だろう。
弊社調べによれば、一般生活者にとってマイレージは「貯まりにくい」使い勝手のよくないポイントとして相対的に認識されている。
そこへの根本的な対応策と言え、注目される。